ー列車の行き先表示(ブルートレインと夜行列車)ー

写真集(その6)ー列車の行き先表示(ブルートレインと夜行列車)ー

電車や列車に乗ると、鉄道会社によって行き先表示に特徴を持たせているところがある。また、珍しい行き先の列車もあるし、表示の仕方も鉄板などのボードからLEDまで多種にわたる。これまで全国各地の列車の行き先表示を、機会があるごとにこまめに写真に収めてきた。ここでは、それらを取り上げてみたい。

ブルートレイン

    まずは、急激に姿を消しているブルートレインと夜行列車の行き先表示を取り上げることにした。かつてはブルートレインや夜行列車が多数運転されていたが、新幹線ネットワークの広がりや夜行バスの台頭などでその多くが最近になって急激に本数を減らしてきている。管理人の手もとの写真を取り上げてみるが、これらの中には姿を消したものがかなり多い。現在残っている列車も今後の新幹線の延伸などによっては予断を許さない状況にある。
    北斗星 北斗星トマムスキー
    (左)寝台特急北斗星・上野発札幌行き。津軽海峡線開業に沸いた頃は一日三往復運転していたこともあったが、現在は同じ区間を隔日で走る「カシオペア」の誕生もあり、一往復のみが残っている。
    (右)寝台特急北斗星トマムスキー・トマム行き。「北斗星」の車両を使い、首都圏から石勝線・トマム駅まで直行する設定もあった。苫小牧から室蘭本線・追分駅を経由して石勝線に入っていた。「シュプール」号の衰退とリンクするのか、現在は設定がない。
    あけぼの あけぼの
    寝台特急あけぼの。青森発、奥羽本線・秋田経由上野行き。こちらも多い時期は上野から青森へ二往復、秋田へ一往復運転された時期があった。運転ルートに変遷が多く、山形新幹線開業前は東北本線・福島駅から奥羽本線を走破するルートだったものが、後に北上線経由で奥羽本線に入るルートに変わった。現在は上野駅から高崎線・上越線・羽越本線を経由して秋田駅から奥羽本線に入るルートをとっている。
    さくら さくら
    寝台特急さくら。東京発長崎行き。長崎・佐世保と東京を結ぶブルートレインだったが、佐世保線内で路線の都合で方向転換を必要とした佐世保行きが廃止され、末期は鳥栖駅以東で熊本からの「はやぶさ」との連結運転になり、廃止された。一時はなくなった「さくら」の愛称だが、2011年3月12日の九州新幹線全線開通による新大阪から鹿児島中央までの直通新幹線の愛称に返り咲くことになった。
    はやぶさ 富士
    (左)寝台特急はやぶさ。東京発熊本行き。九州新幹線開業より以前は西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)から東京駅までを走破するルートだったが、九州新幹線の部分開業・並行在来線の肥薩おれんじ鉄道への転換を控えて熊本発に短縮された。末期は下関駅以東で大分発の「富士」との連結運転になり、「富士」共々廃止された。また、西鹿児島駅発で残っていた新大阪行きの「なは」も八代駅以南の肥薩おれんじ鉄道への転換をもって熊本駅発着に短縮され、のち廃止された。
    2010年12月4日、東北新幹線が八戸から新青森に延伸し、その翌年、2011年3月5日から営業運転を開始するE5系電車で東京駅から新青森駅までを直通する列車の愛称名として「はやぶさ」が復活することになった。
    (右)寝台特急富士。大分発東京行き。「はやぶさ」が鹿児島本線を経由するブルートレインだったのに対し、富士は日豊本線を経由して運転を続けた。かつては「はやぶさ」同様、こちらは日豊本線を経由して西鹿児島駅まで走破していたが、後に宮崎・南宮崎止まりとなり、さらに大分発着に短縮されていた。「はやぶさ」と共に廃止された。
    あかつき あかつき
    寝台特急あかつき。長崎発京都行き。かつては長崎・佐世保と関西を結ぶブルートレインだったが、佐世保編成がなくなり、末期は「彗星」との連結運転となっていた。筑豊地方の石炭産業が華やかだった頃は、折尾駅から筑豊本線に入り、直方駅や新飯塚駅を経由して原田駅から鹿児島本線に戻るルートの列車もあった。
    彗星 彗星
    寝台特急彗星。南宮崎発京都行き。かつては都城駅発着で運転されていた。「富士」が区間短縮で宮崎県から撤退して以降、同県内を走る唯一のブルートレインであったが、廃止された。

「サンライズエクスプレス」

    一方、JR西日本とJR東海はブルートレインの置き換えとして583系寝台電車以来となる285系寝台電車「サンライズエクスプレス」を開発し、東京から高松を結ぶ「瀬戸」、同じく東京から出雲市を結ぶ「出雲」をそれぞれ置き換えた。車内設備も個室を中心としたものとして巻き返しを狙ったが、他の方面への波及が進んでいない。
    サンライズ瀬戸 サンライズ出雲
    (左)寝台特急サンライズ瀬戸。東京発高松行き。岡山までは後述の「サンライズ出雲」と連結運転し、岡山から瀬戸大橋線を通って高松駅に至る。期間によっては、高松駅から電化が進んだ予讃線を西に進み、松山駅発着となる設定もあった。(右)寝台特急サンライズ出雲。東京発出雲市行き。かつて東京から山陰方面に向かうブルートレイン「出雲」は、山陰本線に非電化区間を抱える事情から京都駅でディーゼル機関車に交換して山陰本線に入っていたが、「サンライズ」置き換え後は電化されている伯備線経由にルートが切り替えられた。その後もブルートレインとして東京から出雲市を結んだ「出雲」が一往復残っていたが結局廃止され、鳥取駅・城崎駅(現在の城崎温泉駅)からブルートレインが姿を消した。
    特急 広島行き サンライズ瀬戸
    (左)「特急 広島行き」。285系電車デビュー当初は、予備編成を使った「サンライズゆめ」号の設定が東京と広島の間を結ぶ列車としてあったが、近年はその設定すらない。(右)寝台特急サンライズ瀬戸。高松発東京行き。下り同様、岡山駅で出雲市発の「サンライズ出雲」と連結して東京駅へ向かう。

その他夜行列車

    前述したが、夜行列車の減少も激しく、かつて東海道・東北・北陸方面などに多数運転されていた夜行急行列車・夜行快速列車・夜行普通列車もその多くが姿を消した。毎日定期的に運転される夜行急行列車で現在まで存続しているのは、後述する「はまなす」と「きたぐに」のみとなった。
    トワイライトエクスプレス トワイライトエクスプレス
    寝台特急トワイライトエクスプレス。札幌発大阪行き、原則隔日運行。夜行列車衰退の中で「北斗星」とともに食堂車を営業するなど、飛行機などのように「急がない」層に訴求する列車となっている。車内設備もやはり個室を優先させるなどの配慮があるが、もとブルートレインとして使用していた車両を改造していることもあり、車両の耐用年数が問題となる。また、北陸新幹線の延長の動きも影響する可能性がある。
    ムーンライトながら ムーンライトながら
    夜行快速ムーンライトながら。東京発大垣行き。古くから愛称名のない「夜行の普通列車」として運転されており、発着駅を取って「大垣夜行」と呼ぶ人も多かった。愛称のない頃は急行列車用165系電車で運転されていたが、JR東海が特急型373系電車を投入したときに車両の置き換えが行われ、「ムーンライトながら」の愛称が付けられた。ヘッドマークは長良川の鵜飼いのイメージ。当時の大垣行きは編成の一部を名古屋で切り離していた(右)。
    ムーンライトながら ムーンライトながら
    ムーンライトながら ムーンライトながら
    (上左・上右)373系電車で毎日運転されていた頃の「ムーンライトながら」。現在は(下左・下右)のように夏休み・冬休み・春休みといった需要が見込まれるときに限り、189系電車で運転されている。
    ムーンライトえちご ムーンライトえちご
    「ムーンライトえちご」。国鉄時代の塗装(左)の他、白をベースにした「上沼垂色」の車両(右)による運行もあった。かつては「ムーンライトながら」同様毎日運転されていたが、現在は夏休み・冬休み・春休みといった需要が見込まれるときに限り、485系電車で運転されている。
    はまなす はまなす
    夜行急行はまなす。青森発札幌行き。日本最北の急行列車として津軽海峡線の開業から運転を続けている。2010年12月4日の東北新幹線新青森延伸以降も存続が決まっているが、青森駅から新青森駅までは別の連絡列車へ乗り換えとなる。しかも、現在進められている北海道新幹線の工事進捗によっては列車の存続も予断を許さない状況にある。
    きたぐに きたぐに
    夜行急行きたぐに。新潟発大阪行き。583系電車を定期的に使用していた最後の列車。583系電車自体の老朽化があったが、JR西日本では「きたぐに」用の新型車両の用意に至らず、2012年3月をもって定期列車としての運転を終了した。
    次項、写真集(その7)では東海道・山陽新幹線の行き先表示を中心に触れている。


このサイトはフレームを使用しています。もしフレームが見えない場合は、お手数ですがこちらをクリック願います。